2009年8月5日水曜日

「白い船」

「RAILWAYS」で盛り上がった勢いで、錦織監督の作品を見たくなったので、さっそく家にある「白い船」のビデオを観ました。私以外の家族は全員、公開時に劇場に見に行き、夫が、数年前に安くなっていた中古ビデオも購入しています。

映画について:(Amazon.co.jp からの引用)ネタばれあり。
島根県平田市にある、全校生徒20名足らずの小さな小学校に赴任してきた教師・静香(中村麻美)は、ひとりの生徒・好平が海上に見える白いフェリーに魅せられていることを知り、その船長(竜雷太)宛てに手紙を書かせ、それをきっかけに船と子どもたちの交流が始まる。やがて好平は近くで船を見たいという一心で、祖父の船を駆って海に出るが……。 島根県の小学校の実話をもとに、地元出身で『守ってあげたい!』などで知られる錦織良成監督が、素朴でみずみずしいタッチで描いたヒューマン・ドラマの佳作。教職に自信をなくした若手教師の心の再生の物語にもなっており、中村麻美の好演が印象的。中村嘉葎雄、大滝秀治、宮下順子、山口美也子といったベテラン・キャストも、彼女や子どもたちを巧みにサポートしている。音楽は角松敏生が担当。(的田也寸志)

さて、感想ですが、
最後まで観て、とても感動しました。私みたいな個人主義者とは違った価値観で生きる海辺の人々の、人とのつながりを大切にする共感力のある人間性や、冒険心と行動力。そして、みんなで行動することによって、個人の体験だけではできない大きな感動を生む、そう言う世界があることを知りました。(現実にあるかどうかは分かりませんが)

でも、個人主義的な私は、途中フラストレーションが溜まりました。

フェリーとの交流が始まったばかりの頃までは、そんなに違和感がなかったのですが、皆でフェリーに乗りたいという話になったところから、「何でそうなるの?」と疑問。
もともと白い船に夢中になっていたのは好平だけで、ものすごくその船に乗りたがっていたのも最初は彼だけだったと思います。
それなのに、学校ぐるみで、船を境港まで寄港してもらえないかとか、教育委員会に、学校行事としてフェリーに乗ってもいいかとか相談したり。そんなの行きたい人だけ個人で行けばいいじゃない!と私は思いました。もしくはPTAの行事で自由参加にして行くとか。なんで学校のすべての生徒を行かせなくては!と皆が思い込んでいるのかが不思議でした。
それに、児童が学校を抜け出して、船を駆って海に出るなんて、教師として大問題でしょうに。校長の責任問題になりかねないです。そして、好平は船に取り憑かれているんじゃないかと思うくらい異常に船に執着していて怖いと思ったくらいです。

でも、教師・静香の「私は安全な道しか歩いてこなかった」という言葉を聞いて、「そう言うことか」と分かったような気がしました。静香は平野部の農家出身で、地道にそれまでの人生を安定路線で歩んできたのです。その彼女が塩津の人々とともに過ごす中で、漁師町の人々の感じ方・考え方を受け入れつつあるのです。 彼女がお盆に実家に帰ったとき、家の前に広がる水田を眺めている様子から、漁村と農村との対比が意図的に描かれているように感じました。

そして一人の少年の他愛もない夢が大人も含め皆の夢になり、実現に向けて一体となって突き進む行動力。そこから連帯感と大きな感動がうまれるのですね。冷めた人から見たら、何でそんなことにみんなで盛り上がっているのかと呆れられるかもしれません。
でも静香が「手を振っているだけなのに、何でこんなに涙が出るのだろう。」と言ったように理屈抜きの感動なのです。

私は、現実の生活では「皆一緒に」というのは苦手なので、この映画で連帯感とそこから生まれる大きな感動を擬似体験させてもらいました。

0 件のコメント: