2009年8月7日金曜日

犬達の悲鳴

もう2か月くらい前になりますが、深夜偶然見たNHK-BSの番組「イギリス 犬たちの悲鳴 ~ブリーディングが引き起こす遺伝病~」の内容には、かなりショックを受けました。

以下番組紹介より
イギリスでは、犬の外見上の特徴を強調することが優先されるあまり近親交配が重ねられ、多くの純血種の犬たちが重い障害や病気を先天的に持って生まれるケースが急激に増えている。人間による無理な繁殖の結果、犬たちの健康が危機に陥っている現状を描くドキュメンタリー。

イギリスで人気の高い犬種キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルの多くが発症しているのが、脊髄空洞症。七転八倒するほどの頭痛が絶え間なく続き、痛みから解放するために安楽死させるか、頭蓋骨の一部を切りひらく手術をするしかない。この犬種は心臓の疾患にも悩まされており、1950年代か60年代に発生し、その後、繁殖の過程で多くの犬たちに遺伝してしまったと考えられている。こうした遺伝性疾患はあらゆる犬種で急激に増えている。原因は、イギリスの「ケンネル・クラブ」の“犬種標準”にある、と王立動物虐待防止協会の首席獣医師マーク・エバンスは主張する。これは各犬種の大きさや体型、毛の色など、満たさなければならない基準を事細かに規定しているブリーダーたちの“バイブル”だ。標準に合わない子犬を安楽死させたり、特徴を「定着」させるために近親交配を行ったりしているブリーダーもいるという。その結果、多様性が失われてしまうだけでなく、近親交配が免疫システムに影響を及ぼし、多くの病気を引き起こしている。もともと犬は人間によって狩猟や牧羊などそれぞれの役割に適した姿形に改良されてきた。その後、19世紀の半ばからは改良や繁殖を楽しむ人々が登場し、各地でドッグショーが始まった。ところが、当時と現代の犬たちを比べるとその姿はかなり異なっている。犬たちの特徴は時代とともに誇張され、より極端になったあげく、犬の健康そのものに影響を及ぼすようになってしまっていると獣医師たちは指摘する。  イギリスのケンネル・クラブも対策を講じ始めてはいる。ブリーダーたちに犬の健康に配慮した交配を行うよう通達し、遺伝性疾患を調べるDNA検査の開発資金の提供もしている。しかし規制を厳しくしすぎると多くのブリーダーが脱退して勝手に繁殖をするようになり、まったく把握できなくなるという危険性があるため、抜本的な解決まではまだ時間がかかる。とはいえ、美しさの追求と命の価値について早急に考え直さない限り、犬たちに未来はない。

この番組を見ていて何が衝撃的かと言うと、病気に苦しむかわいそうな犬達の姿と、人間によってほんの100年かそこらで、体型まで歪められてしまったこと。
そして一番ショックだったのは、愛犬家と言われる人たちの、犬達の苦しみなんかお構いなしで、「純血種、なかんずくコンテストで優勝した犬もしくは、その子孫を飼っている」という虚栄心を満たすことの方が大事であるかの様な態度です。犬達の現状を知らないし、知りたくもないかのような態度。実際に飼い始めてから犬が発病し、治療の大変さを知り、初めて問題に気づくことになるのでしょうが。無知は罪ですね。
そして、「お金のためなら何でもするのが当たり前」との犬達を犠牲にしているブリーダー達の言い分に吐き気がしました。

中には心から愛していたペットの苦しみと死に、深い悲しみと憤りを感じ、ケンネル・クラブに働きかけをしているご婦人もいたのは救いでしたが。

さて、なぜ今頃この話題を持ち出したかと言うと、一週間ほど前に、読売新聞の「古今をちこち」と言うコラムで、江戸時代の日本のペット事情について書かれており、その内容がやはり、上の番組と本質的に共通していたので、まとめて記事にしたくなったのでした。いま仕事が夏休みで、時間がありますしね。

なんでも、日本もかつては犬を食していたけれど、徳川綱吉の「生類憐みの令」を機にその風習は断たれ、代わって狆の飼育が人気となったのだそうです。

江戸時代の狆の実態は驚くべきもので、高価な狆を国内繁殖すれば大儲け。現代顔負けのブリーダーがおり、狆は哀れなほど種付けされていたのだそうです。 詳しくは下の写真の記事の一番下の段に書かれています。
(下の画像をクリックすると拡大されます。)

いやあ、古今東西、人間って同じような事をしてるんですね。呆れます。そしてかわいそうな犬達(;_:)。

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