おっとりした自分が嫌い
20歳代女性。自分に自信がありません。おっとりしたタイプで、何をやってもダメ。子どもの頃からよくからかわれてきました。自分が大嫌いです。
就職しましたが、「世間知らずのお嬢様」「理解が遅く役に立たない」などと言われ続け、会社を辞めました。次の職場でも同じようなことがあり、今は無職。職を探していますが、うまくいきません。幸い実家暮らしですが、いずれは自立しなければなりません。不安になります。
最近、仕事がうまくいっている友人や幸せそうなテレビタレントを見ると、無性に腹が立ちます。そして、そんな自分が嫌になります。もっと頭がよく要領がよければ人生は変わっていたのに、と悲しくなります。
愚痴っぽくなりましたが、今後、どんな気持ちで生きていけばいいのかアドバイスをいただきたく、筆を執りました。(京都・K美)
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相談のお手紙から、うなだれて、ため息をつくあなたの姿が見えるようです。世の中には根拠のない自信を持ち虚栄をはる人がいますが、あなたは反対のようですね。自分を内省し過ぎる癖があることに気づきましょう。これまでに経験した仕事はたまたまあなたに合わなかっただけではないでしょうか。不器用なくらい、まじめで穏やかな性格のあなたを生かせる仕事はきっとありますよ。
私も20歳代後半に自分が嫌いになりました。選手を引退後、その先の人生の進み方がわからなくなった時です。中学の頃から走り続けてきましたが、終わってみると走る以外に何もできません。落ち込みました。そんな時、友人に誘われて自閉症の子どもたちにランニングを教えることに。彼らは毎週私の訪問を心待ちにしてくれました。私は「必要とされている」と実感し、少しずつ自信がついていったのです。
あなたは、この相談の手紙を書いた自分自身の行動力に自信を持ちましょう。そして、一つ一つ自分の良い所を褒める習慣を作ってほしい。きっと自分の中のかわいらしさに気づくと思います。
(増田 明美・スポーツ解説者) (2009年10月24日 読売新聞)
増田明美さんが人生案内の回答者になられてからもうすぐ2年。回答ぶりもかなり板についてこられましたね。
今日の回答は彼女の今までの回答の中で一番良かったと私は思います。
今までのが悪かったわけではないのですが、私が捻くれているのか、まだどこか青さを感じてしまっていました。言葉が観念的で、自分自身から出てきた言葉ではないような。
でも、今回は実体験を交え、まさに自分の言葉で語りかけるような回答。実感がこもっています。そして、自分の後に続く若い人への温かい励ましに感動しました。
特に最後の「きっと自分の中のかわいらしさに気付くと思います」という個所には不覚にも涙が出てしまいました。この「かわいらしさ」という表現は自分自身の体験あってこそ出た言葉でしょう。この言葉は、増田さんの名言ランキングがあるとしたら一位に推したいと思います。
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