ホステスと同伴 妻怒る
50歳代男性。子どもは独立し、夫婦二人暮らしです。半年ほど前、酒に酔ったとき、「仕事の接待で利用しているクラブのホステスと、“同伴”で飲食店やカラオケに行っている」と妻に話してしまいました。
妻は「信じられない。デリカシーがない」と怒り、それ以来、口をきいてくれず、寝室も別にされました。訪ねてくる子どもたちも雰囲気を察してすぐに帰ります。定年後は、妻と旅行などして仲良く過ごしたいと思っているのですが、今のままではかないそうもありません。
妻は怖いのですが、一方で、男たるもの聖人君子でもあるまいし、少しくらい遊んで何が悪いのか、という気もしています。氷のような妻の心を解かすには、不本意でも謝るべきでしょうか。私の取るべき方法をご助言下さい。(京都・A男)
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昔、妻が守るべき心得を「婦徳」とか「婦道」と呼びました。今、「夫道」があるとすれば、お互いに貞操を守ることであり、万が一破った場合は、妻に打ち明けないことだと私は思います。街で同伴を見つけられたら「偶然」と弁明し、現場に踏み込まれても「何もしていない」と言うべきです。妻に告げるのは、どんな代償を払ってでも離婚する決意を固めたときだけです。
定年後、奥様と仲良くしたいなら、男の沽券(こけん)をかなぐり捨てて無条件降伏、平謝りするよりほかはありません。そして家事や力仕事をこなし、老後「いたほうがいい夫」をアピールすることです。中高年でひとりになった男性の寿命は短いといいますから、この際自分の命を買うつもりで頑張って下さい。妻の怒りが今回の件だけなら、これでなんとかなるでしょう。
問題はあなたが気づかないだけで、妻の側に積年の恨みがある場合です。それとなく預金通帳などの無事を確認して下さい。妻が離婚準備しているとしたら事は重大で、心をつくして一から話し合わなければなりません。(樋口 恵子・評論家)
(2008年4月8日 読売新聞)
相談自体はどうってことないのですが、樋口恵子さんの回答があまりにも見事なもので、ここで取り上げてみたくなりました。どの言葉にも、「ほほ~!」「その通り!」と頷いてしまいます。提案内容も「なるほど~」と納得させられます。ここまで明快だとほんとに気持いいです。久々のヒット回答でした。
2 件のコメント:
私も昨日新聞でこの記事を読んで思わずニヤリ。樋口女史言ってくれますね~。男の沽券をかなぐり捨てて無条件降伏せよ!預金通帳は大丈夫か?ははは。もうほんと気持ちいいですよね、あっぱれ。全体に回答者の先生方はやんわりとした物言いが多くて「そんなの甘~い!もっとビシっとした回答を!」と感じてたので、これでスッキリしました。
相談者の男性は奥さんをひどく傷付けたことをわかってるのかなあ?熟年離婚の日も近いかも?命を買うつもりでがんばれ、というのも凄い励まし方ですけどね、ふふ。樋口さん、ますますファンになってしまったわ。
おお、やっぱりジョディさんもニヤリ、とされたんですね。樋口女史言ってくれますよね~。
≪家事や力仕事をこなし、老後「いたほうがいい夫」をアピールすることです。≫と言うのには「樋口さんならではの切り口だわ~」と感心してしまいました。あと、≪中高年でひとりになった男性の寿命は短いといいますから、この際自分の命を買うつもりで頑張って下さい。≫と言う件もさすがです。更に返す刀で最後の段落でとどめを刺す「預金通帳」の話。もう、すばらしい!他の人にはできません。樋口さんだから言えるし、言うのを許されるのでしょうから。
相談者の男性、普段から奥さんとのコミュニケーションがうまく取れてなかったんじゃないかしら、と思います。なんとなくですが。だから、奥さんのものの感じ方とかに鈍感なんでしょうね。樋口さんが示唆しているように奥さんの方に積年の恨みがあるかも…。
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