2012年2月3日金曜日

人生案内、樋口恵子さんの名回答

40代女性、一人暮らし苦痛

40代後半の女性。一人暮らしをしています。最近、何のために生きているのかわからなくなってきました。
2年前に離婚し、息子2人は独立しています。両親も亡くなっており、きょうだいもいません。働いているので生活には困りませんし、何事も一人で決めて一人でする自由も感じています。でも、息子や友人と会うのは1~2か月に1度で、人と全くしゃべらない日もあります。スーパーなどで楽しく買い物をしている家族連れを見かけると落ち込み、涙してしまいます。
私はお人よしの世話好きで、人に何かをすることで喜びを感じる性格でした。夫や息子、両親のために一生懸命に生きてきたので、一人で生活することに戸惑っているのです。
東日本大震災の被災者に比べればぜいたくな悩みですが、どうすれば一人でも楽しく生きていけるでしょうか。(奈良・U子)
あれこれ悩み、生き方に迷うというのはだれにでもあることで、人生に大切なプロセスだと思います。悩みの上にこそ、成果も安らぎも得られます。
 きちんとした仕事があって経済的な心配がないこと、これは絶対的有利な条件ですから手放さないでください。お友達と楽しく付き合える人間関係力も人生後半への重要な資産です。この上は、他人のために働くことがお好きという性格を生かして、地域のボランティア活動、あるいは文面から読み取れる真面目さを生かして趣味・学習活動。きっとそれなりの成果が得られます。
 あなたがもう20年ほど年長だったら、私の回答はこれで終わりです。でもまだ50歳前の若さ。あなたの心の底には女性としてこれで終わっていいのかという思いもあるのでは。あって当然。仕事と社会活動に加えて女性としての幸せを願っても構わないと思います。外へ出て、おしゃれをして、同性とも異性とも楽しく付き合い、場合によっては中年婚活もいいでしょう。
 相手があることですからうまくいくとは限りません。でも、二兎(にと)を追う者は一兎をも得ずというのは人生50年だった昔の話。今は二兎も三兎も追う長寿社会です。
 (樋口 恵子・評論家)
(2012年2月2日 読売新聞)

わたし、評論家としてテレビで吠えまくっていたころの樋口さんが大嫌いだったのですが、数年前の読売新聞の人生案内での回答や、時代の証言者などを読んで、結構樋口さんを見直してるところです。
今回の回答でも、また見直しました。

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