2010年12月29日水曜日

『夜は短し歩けよ乙女』

昨日から年末の休みに入り、久しぶりにゆっくり読書を楽しんでます。

とりあえず、娘に熱心に勧められるまま森見登美彦の『夜は短し歩けよ乙女』を読んでみました。

京都大学と思われる大学の学生達が主人公ということもあり、万城目学作品と似た感じです。
一部ファンタジーが混ざってるところも一緒ですが、こちらはどこかジブリ的。そして、軽くエロも入ってます。

主人公の男性(名前不明)のキャラも『鴨川ホルモー』の主人公と似て、情けないところがありますが、こっちの方が回りくどいながら、かなり恋愛に対して積極的に行動しています。まあ、テーマ自体が彼の恋愛物語ですし、一方『~ホルモー』の方は恋愛よりホルモーという競技がメインですからね。
彼の語り口が古典的で、しかも自虐的なところがけっこう笑えます。何回か出てくる自分に向けた「恥を知れ。しかるのち死ね」とか。「彼女の後姿に関しては自分は世界的権威と思われる男だ」とか。

ヒロインの黒髪の乙女、とても素直で好奇心に満ちていてかわいいです。私もあんな心構えで大学生活を送っていたら…と無為に過ごした20数年前の大学生活が悔やまれます。でも、大学祭や飲み会のバカバカしい雰囲気はかつて体験したものと重なり、懐かしかったです。

他の登場人物が、高橋留美子の漫画に出てくるキャラを彷彿とさせる人たちが多いと感じました。
特に『めぞん一刻』の一刻館の住人、四谷と朱美を思わせる樋口と羽貫。それに、『うる星やつら』のチェリーを思わせる李白。ガヤガヤとした感じがよく似てると思いました。

主人公の、黒髪の乙女に偶然を装い、彼女の視界にいるようにして自分の存在を彼女にインプットしようと奮闘する姿がいいです。ストレートにアプローチするのでなく、外堀から埋めていくという彼の性格って姫を見守るナイトっぽいキャラな感じで好きです。
凄く回りくどいけど、神のご都合主義によってハッピーエンドになって良かった良かった。

たまにこういう青春ファンタジーもいいです。

0 件のコメント: