2009年6月20日土曜日

「バトルライン(Sword of Honor)」

この映画(ドラマ?)、ずっと見たいと思いながらDVDが高いので躊躇しているうち2年くらい経ってしまいましたが、先日ついに、中古品を半額以下でゲットしました。



話自体はそれほど面白いわけではないのですが、前篇・後編合わせて約3時間のほとんど、ダニエルが出ずっぱりなのがいいのです。しかも、ここ数年のしわしわ顔でなくて、お肌がぴちぴちしているのです。
さて、内容は、
1939年、第二次世界大戦下。ヨーロッパ戦線は一触即発の戦況だった。カトリックの旧家出身の紳士ガイ・クラウチバック(ダニエル・クレイグ)は国のために戦うことを決意、由緒あるハルバディアズ連隊に入隊する。旅団編成に向けてアプソープ、トリマーなどの士官仲間と訓練に励む中、前妻ヴァージニア(ミーガン・ドッズ)との再会によって愛が再燃する。一方、悪名高い旅団長ベン・リッチー・フック(ロバート・パフ)の指揮のもと、自由フランス軍によるダカール奪取作戦の援護部隊として派遣される。その後、エジプトでの任務を経て特殊部隊に転属を命じられたガイは1941年ドイツ空挺部隊の強襲にさらされたクレタ島防衛作戦に参加。目の前に広がるイギリス兵の逃げまどう姿に言葉を失う一団。全軍撤退の混乱に巻き込まれ、まさに悪夢のような日々がはじまった・・・。[Amazon.Japan]

ストーリーは一回観ただけだとなんだか退屈に思えましたが、2回、3回と見ているうちに結構楽しめてしまい、驚いています。

敬虔なカトリック教徒のガイとその家族は本当に純粋な善人。ガイは真面目で能力的には高いのに、仕事でも、私生活でも貧乏くじを引いてばかり。周りの登場人物の多くが油断できない人物で、みんなうまく世渡りしているのとは対照的です。

怠け者で調子だけはいいトリマーという男に至っては、軍広報部の対国民操作のため、やらせの作戦で手柄を立てたことにしてもらい、民衆出身の兵士として偉大な業績を上げたと報じられ、一気に大尉から大佐に昇進。国民のヒーローになったのでした。実は、これはガイが適当に広報担当者に推薦した結果なのですが。

元妻は全くの悪人とは言い切れないけれど、ずるくてお金と男にだらしない女。何でガイはいつまでもそんな女を愛し続けているのか、と歯がゆい思いです。 確かにこの映画の中の女性の中では一番美しく、魅力的ではありますが。やはり、いくら高潔な人間でも愛欲には勝てず、でもカトリックだから再婚できない。相手には宗教的には唯一妻として認められる元妻しかいないから、という理由もあるようですが。それにしても、さんざん傷つけられているのに…。

しかも、トリマーとの子供を妊娠して、でもトリマーが嫌いだからとトリマーを振ってしまい、行くあてもない元妻は何と、父親の莫大な財産を受け継いだガイに再婚話を持ちかけ、子供の父親になって貰うのです。
ガイは「自分は今まで人の役に立ったことがないから、この子の命を守ることができる機会を大切にしたい」と言う理由で承諾するのです。元妻が財産目当てなのと、子供の父親として利用されることを知った上で…。何と言う謙虚で高潔な人物でしょう。

そう言えば、元妻はガイとの最初の結婚生活の間にガイの友人に目移りして、ガイを捨てて、その友人と結婚したのですが、ガイもその友人も会えば、フレンドリーに話してるのがすごいと思いました。しかも途中からガイはその友人の部下として誠実に任務に当たり、友人を支えるのです。

この映画を通して、上流階級の暮らしぶりや考え方に興味を持ちました。特に女性たちの生活、役割に。 子育ては乳母に任せるのが当たり前の社会で、やはり社交が重要な仕事なのでしょうか。

また、組織の人事って、周囲の状況や、時代の流れみたいなものによって気まぐれに決定されてしまうものなのかもな~と、この映画で描かれた軍隊の世界に普遍性を感じました。

また、ガイが良かれと思ってしたことが皮肉にも人を死やそれに近い状態に追いやってしまう結果になった話が2つもありました。ガイの内面の苦悩はかなりのものだったと思います。でも、人は未熟ながらも自分が善だと信じる道を進みながら、視野の狭さゆえ失敗し、図らずも人を傷つけながら成長していくものなのだよな~と、ガイを見て感じました。

ダニエルはちょっと上流階級の人っぽい雰囲気ではないのですが、軍隊の制服姿がとてもよく似合っていて、惚れぼれしました。

観て損はしないドラマでした。

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