2008年7月12日土曜日

本日の人生案内

夫の家族を許せない
 昨年結婚した30歳代主婦。結婚式に義父母と義妹が遅刻し、皆で探して大騒ぎになりました。義妹の化粧に時間がかかったせいでしたが謝罪は一切なし。披露宴では、義父が酒に酔って義妹の結婚式の方がよかったと言い出しました。
 夫の実家は地方の平凡な家庭。悪い人たちではないのですが、時に信じられない行動をします。一方私は都会育ちで「どこにでも出せるように」と家庭でも学校でも厳しくしつけられました。海外経験もあります。
 義父母は「立派なお嫁さんが来た」と喜んでくれています。夫とも理解しあっており「古い習慣が残る法事などにはかかわらなくてもいい」と気遣ってもらっています。ただ私は結婚式の日の義妹と義父の態度をどうしても許せません。義妹は時間を守るより、自分が美しく登場する方が大事なのです。そんなことが社会でまかり通っていいのでしょうか。(東京・D美)

 都会に育ち、厳しい教育を受けてきたあなたには、地方に住む義父母や義妹の言動は非常識で怒りを感じるのですね。
 さて人間は、文化によって時間に対する感覚が異なり、例えばスケジュールを守り、きちんと計画を立てて実行する人と、いくつものことを同時進行し、計画を途中で変える人があると言われています。
 あなたと義父母らとの感覚の違いは、育ってきた文化や環境の差によるものでしょう。結婚式に関する義父の言葉は、かしこまった披露宴で疲れてしまい、酒が入って思わずもらした本音かもしれません。秩序だった式が苦手だったのでは。夫とは理解しあい、法事などにはかかわらなくていいと、皆があなたを受け入れているのです。ざっくばらんな人たちには顔と心の中が違うということはありません。陰で悪口を言ったりしない人たちです。そのざっくばらんさは、きっとあなたにとってほっとできるものになるはず。
 「どこにでも出せる」ように育った人は、かっこよくて高学歴というだけではなく、地方の平凡な人たちともふれあえる人であるはずです。
 (海原 純子・心療内科医)
(2008年7月12日 読売新聞)
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 海原先生、うまい!特に最後の一言が効いてますね。やんわりとした表現ながら、相談者の思い上がりを上手に戒めてます。この相談者は生真面目すぎて、ストレートな書き方をしたら、傷つきそうですからね。

 最初、タイトルを見たとき、相談者の夫の家族ってどんなひどい人たちだろう、と悲惨なエピソードを予想していたのですが…。

 確かに結婚式でのもろもろの出来事は非常識極まりないと思います。私も多分頭に来ると思います。
それ以外でもきっと、きちんとしたいタイプの人からすると信じられないほど非常識な行動を見せつけられたのでしょうね。
 
 でも、許せないっていうよりも、私だったら、呆れて、できるだけかかわらないようにするだけでしょうね。ただし、法事など必要な行事には出席はもちろん、手伝いくらいしますけどね。嫁としての務めですからね。
 
 この相談者の場合、夫の家族の人格批判はあえて避け、その人たちの非常識さの原因を出身と社会的地位に帰しているのは、「いい人たちなんだけど、なんであんな行動をとるのかしら?きっと田舎の人間で、学歴も地位もたいしたことなくて、ソフィスティケイトされてないせいよね。」と、ある意味好意的にとらえてあげているつもりかもしれません。 (でも、実際は、ただ、腹の立つ人たちを見下して、気持のバランスを取ってるだけかもしれませんけどね。)
 
 相談にあるような書き方をしてしまうところ、この方の視野の狭さや自意識過剰な思いあがりも相当なものだよな~!と思っちゃいます。しかも、思うのは勝手だけど、不特定多数のいろんな階層の読者がいるのに、配慮がない。
 私にしても、「はい、わたしも地方の田舎者ですし、ごく平凡な家の出の人間ですが、それが何か?」と言いたくなりますからね。
 
 この相談者さんには私からも海原先生の最後の一言を言いたいです。

あと、トピずれですが、今日の「編集手帳」も良かったです。

3 件のコメント:

ジョディ さんのコメント...

大半の読者は先生の最後の一言でスッキリしたことでしょう。こうまで田舎を否定し自分の育ちを鼻にかけてはね(私も田舎育ちヨ)。結婚式の件をずっと根に持つなんて了見が狭い、これからもっともっと大変な事が待っているのにね~。この先、相談者は気持ちを切り替えられるかな?難しそう。
今回もyochanが取り上げそうな”美味しそうな”相談内容だわ~と思ってましたよん、ふふ♪

「愛と死をみつめて」子どもの頃テレビドラマで見たのが印象に残ってます。大島さんは生きていたらまだ60代なんですね。

yochan さんのコメント...

ジョディさん、
やはり見抜かれてましたか。
名回答を見ると、書きたくなるんですよね。しかも、今回の相談者は突っ込みたくなるタイプ。ほんと「美味しい」獲物って感じです。
大半の読者もやはり、同じ思いでしょうね。
そうそう、自分の育ちを鼻にかけてますよね。なんだか逆にイタイわ~。

「愛と死を見つめて」、私はちゃんと見てなかったのですが、もしかして「マコ、甘えてばかりでごめんね。ミコはとっても幸せなの。」っていう主題歌でした?内容は全く覚えてないのですが。本の方を図書館で借りて読もうかな。大島さんの心の美しさに触れたいです。今の60代の方たちと同年代なんですね。勿体ないです。

yochan さんのコメント...

ふと、目に入って気がついたのですが、この相談者、名前が「D美」となっていますが、実際の名前は何とおっしゃるのでしょう。わたしには「ドレミ」くらいしか浮かびません。もしかして本名の略ではないのかな。