2007年11月18日日曜日

A gentleman from 紳士の国

 先週金曜の夕方から今日の午後3時過ぎまで、待ちに待ったイギリスからのお客様、ジュリアン(46歳・男性)をお迎えし、お世話いたしました。 

 本人に会うまでDHは、相手がイギリスの自治体幹部だから、もしかしたらパブリックスクール~オックスブリッジというエリートコースを進んだ人物で嫌味な皮肉屋かもと想定して、「よくもまあ、そんなに口から出まかせにいくらでも~!!」と感心するほど皮肉合戦のシミュレーションをして遊んでいました。ところが、いざご本人に会ってみるとなんとも穏やかで優しいタイプのジェントルマンでした。容貌的には典型的な白人男性。今までのゲストの中で一番鼻が高かったです。背は185cmでどちらかというと細身。謙虚な人柄を表しているかのような猫背がちな背中がおじさんぽかったです。顔はハリポタシリーズに出てるネビル役の子の最近の顔に似た感じで、なかなか男前だけど人畜無害な感じ。そんなジュリアンを見て、皮肉の応酬など楽しめそうもないと悟ったのか、はたまた、風邪気味だったためかDHはこの3日間終始大人しくしていました。 

 さて、ジュリアン、我が家に着いてから玄関で「どうぞお入りください」と促すといきなり靴を穿いたまま上がったのにはびっくり。これまでのゲストは6人とも靴は玄関で脱いで、律儀にきちんと揃えていたので今回のゲストも日本の習慣を勉強しているとばかり思っていたのでした。もしや、お約束のギャグ?とも思いましたがそういうタイプでもなさそうだし、本当に玄関で靴を脱ぐ習慣について知らなかったのか、知っていたけど忘れていたのもしれません。

 金曜日の夕食は前回のビクトルのときとほぼ同じものにしました。ただ、今回はそれにリンゴと柚子の蜂蜜和えとビール、スーパーで買った巻き寿司や鉄火巻き、サラダも追加しました。というのもこれまでの場合はコーディネーター側から「お客様扱いせず普通の生活のままでお願いします」と言われていましたが、今回はそう言ったことを特に言われなかったので、それなりのおもてなしを期待されていると感じたからです。
 
 実はジュリアンが来てからまともに私が話をしたのは夕食を食べ始めてからでした。ジュリアンが来た時すでに仕事が始まっていて、挨拶だけして仕事に戻り、2時間後仕事が終わったらすぐさま夕食作りを始めなくてはならなかったのです。
 ジュリアンは日本語はまだ「はい」「いいえ」「こんにちは」「おいしい」くらいしかわからないということで、全て英語で会話しました。こちらは適当な英語を適当な発音でしゃべっているのにもかかわらず、すぐに打てば響くような反応があり、ジュリアンの勘のよさに感心しました。それとも私たち、自分の英語力にもっと自信を持っていいのかな?
 私はせっかくだから話し始めるとさっそく、ちゃっかりダニエルの話をしました。 ジュリアンも「007カジノロワイヤル」や「レイヤーケーキ」は観たそうです。もともとピアース・ブロスナンが一番好きなボンドだったそうで、私が「ダニエルがボンドになったときガッカリした?」と訊くと「いや、メディアの人達同様、最初は期待してなかったが、ダニエル演じる強いボンドを観て、考えが変わり、高く評価している。」と言ってくれました。それと私が「ダニエルのボンドは傷つきやすいもろさを感じさせるところが特に好きだ」と言うとすごくうなずいていました。また、「レイヤー・ケーキ」についても「いい映画だ。」と言ってました。いや~、うれしいですよね~。
 お風呂を勧めると、お風呂に入る前にお土産を披露してくれました。DHにはスコッチウィスキー、息子にはイギリスの地下鉄の車両模型、娘にはフルートのCD、そして私にはクリスマス模様の缶に入った紅茶(Whittard of chelseaのクリスマス・リーフ・ティー)。いままでのゲストも半数はお風呂に入る前にお土産をくれたのですが、これってなんかホームステイ・マニュアルでもあるのでしょうか?「お土産は初日の入浴前に渡すべし」みたいな。まあ、実際は多分お風呂に入る前ってかばんを開けることになるので、その時点でお土産のことを思い出したと言うのが真相なんでしょうけどね(^^)。それにしても、息子と娘にいただいたお土産は事前に渡っていたこちらの情報をもとに選んでいただいた事がよくわかるものでした。特に娘がもらったCDには日本の曲が「さくら さくら」「朧月夜」など数曲入っていて感激しました。さっそく皆で聴きました。
 
 ジュリアンがお風呂から出てきてからもベッカムのイギリスでの人気凋落についてとか、いろいろ他愛のない話をしつつお菓子をじゃんじゃん食べながら、「HEROES」の再放送を観たりして金曜の夜は更けました。
 
 翌日の朝食はご飯と卵焼き、野焼きかまぼこ、ほうれん草のおひたし、浅漬け、豆腐の味噌汁にしました。

 午前中は出雲大社と古代出雲歴史博物館へ行き、昼食は我が家の非イスラム系外国人ゲスト御用達の広島風お好み焼きの「HERA」へ。前回のビクトルの時に30分は待ったので今回は見学もそこそこに11時に歴博を出てHERAに向かいました。着いたときはまだ「仕込み中」の看板が出ていましたが、1分も待たないうちに「営業中」に変わりました。首尾よくお好み焼きができる工程がよく見える特等席に座る事ができました。見て楽しく、食べておいしいので「HERA」は最高です。他のゲストもそうでしたがジュリアンも写真を撮ってました。特にジュリアンは英国食品基準局の部長さん、食品には興味津々なのです。

 その後は娘のフルートのレッスンの送り迎えがあったので近くの書店や島根ワイナリーで時間をつぶしました。仕事柄なのかどうなのか、ワイナリーでは興味深そうにいろいろ試食していました。DHが面白がっていたのが、「やっぱり中年のオッサンの好みは洋の東西を問わず一緒だな~(^-^)」という事でした。DHもそうでしたが、あれこれ試食した中でもワインチョコでコーティングしたレーズンや、きな粉をまぶした豆菓子がジュリアンもお気に召したらしく何度も試食し、結局お土産に買っていたのでした。 私はというとDHにそそのかされてワインを2本買いました。

 夕食はジュリアンもイギリスで時々作って食べているというカレーライスにしました。サラダはスーパーで買ったポテトサラダにしました。カレーは「おいしい」と言っておかわりもしてくれました。でも、サラダのほうは勧めても断られました。スーパーで買うのを見られていたので、やっぱりな、と思いました。
 
 食後にジュリアンとDHと私とでワインを飲みながらいろいろおしゃべりを楽しみました。前夜と違ってけっこうまじめな話をたくさんしました。ワインがすすむ、すすむ。お菓子もすすむ、すすむ(^^;。日英の医療費についての比較とか学校給食についてとかDHの仕事のことなどジュリアンからふってきたので、大人な話を色々しました。イギリスの病院って歯医者さん以外は無料なんですね。歯医者さんもそんなに高くはなかったような。「それだけ税金が高いんですよね。」と私が言うとジュリアンは苦笑い。さらにDHが「まさにゆりかごから墓場までだね。」と言うとジュリアンは可笑しそうに笑ってました。日本は全て3割負担だと伝えておきましたがそれでいいんですよね?あとイギリスではタバコが一箱1000円もするそうな。教育の成果もあり喫煙人口は減っているそうですが、ただどんなに高くても吸う人は吸うのですね。他にも交通事情などいろいろ日英比較の話をしました。
 今朝も日本の給食費や医療費未納問題などモラル低下の話をしたら、モラルの低下についてはイギリスも同様だと言ってました。また、食品会社の産地偽装問題について教えてあげたかったけど今一つうまく伝えられなくて、ネットの英字新聞を見せてあげたら喜ばれました。

 今朝の食事はトーストと各自好きな飲み物、スクランブルエッグ、ベーコン、スパゲティ、またまたリンゴと柚子の蜂蜜和え。
 お昼は出雲文化伝承館の中にある羽根屋さんで出雲そばの定食などを食べ、館内見学をした後、お茶席へ。ジュリアンは正座は無理だそうで、胡坐をかいてお菓子を食べ、抹茶をすすってました。
 
 今日はジュリアンが帰る日でもあり、「イギリスに帰ってから何か送ってもらいたいものはあるか」と訊かれたので、ちゃっかり「ダニエルが表紙になっている雑誌!それとウォーカーズのショートブレッド!」と答えちゃいました。DHは「自分の欲しいものは高いものばかりだからいいよ、ちなみにツィードのジャケットとか。」ですって。
 
 午後はもうジュリアンとお別れです。午後2時に私の運転で我が家を出発し、松江のホテルまでジュリアンを送りました。
 
 また、いつか会える日を楽しみにしています。もし、もう会えなくても、連絡を取り合ってお付き合いを続けていこうと思います。

 

5 件のコメント:

ジョディ さんのコメント...

ご苦労様でした。yocan、御主人、お二人とも英語が堪能だからコミュニケーションはバッチリなのね。ジュリアンさんもいろんな話題の会話が出来て有意義だったでしょう。ワインを飲みながら語り合う~楽しい3日間でしたね。あぁやっぱり英会話もっと勉強しとくんだったなあ~。といってもそういう機会があるわけではないんですけどね。
昔の「ゆりかごから~」の福祉はすでに崩壊してイギリスは厳しい状況にあると思ってたんですが、そうでもないみたいですね。やっぱりある程度は保障されてるのか。税金の高さは相変わらずなんですね、やっぱり。
ダニエルの話題で盛り上がったようで、よかったですね。ふふふ。
それから食事は今回も美味しそう♪ りんごと柚子の蜂蜜和え、作ってみよう! それと野焼きかまぼこってそちらの特産品ですか?

yochan さんのコメント...

 いや、ほんと今回は気合を入れました。ただ、もしジュリアンがもっとイケメンで色男だったら別の意味でも気を遣い今頃ヘトヘトになってるんでしょうけどね、ふふ。普通のおじさんで良かったです。
 私は一応、中・高の英語教員免許は持っていますが、普段英語圏の人と話す機会がほとんどないのでホームステイの受け入れは英語を実際に使ういい機会になっています。文法的にはたまに高校レベルの仮定法過去完了を使ったくらいであとはほとんど中学英語レベルで十分通じました。夫の方は特に英語が得意なわけではないんですよ。ただ、30年前に受験勉強で丸暗記した「でる単」「でる熟」「構文150」あたりの威力は侮れないことが身に染みたようです。私もちゃんとやっとけば良かったと後悔(^^;。ほんとに高校の頃の受験英語って実際意外なほど役に立ってます。
 ホストファミリーの募集って島根みたいな田舎でさえけっこうあるのだからジョディさんのお住まいの地域ならもっと多く募集してるんじゃないかと思いますよ。ジョディさんも、お近くの国際交流センターみたいなところに登録してみられては?異文化交流、楽しいですよ。ゲストは英語圏の人ばかりじゃないし、言葉は通じなくても何とかなるみたいですよ(^^)
 りんごと柚子の蜂蜜和え、私は友達のお母さんが作られたものを真似してるのですが、これが美味しいんですよ~。ぜひ、ジョディさんもお試しあれ。今、柚子がたくさん出回ってるから私もまた作ろう!
 それと野焼きかまぼこ、はい、島根の特産品です。「あご野焼き」と言ってトビウオのすり身を使った、見た目は特大サイズのちくわ、味はちくわよりずっと贅沢な味でけっこう高級品なんです。まあ、これもピンキリなんですけどね。ちゃんとしたのは一本500円くらいはします。もし、島根に来られたら、お土産にオススメです。

yochan さんのコメント...

ジョディさん、
 そうそう、イギリスの福祉のこと、私も医療費の話が出たとき「あれっ?」と思いました。どうやらサッチャー時代に崩れた医療制度をブレア前首相が立て直しに努めたようですね。
 それと、高い税金といえば、ロンドンは指定区域内は混雑税を徴収されるからジュリアンも自分では車を持たず、電車を利用してると言っていました。

ジョディ さんのコメント...

なるほどブレアさんが頑張ってくれたわけですか。
イラク問題がなければねえ~惜しまれます。
混雑税?いろんな税金の取り方があるんですねえ、なんだか面白い?
次回はどこのお国の人なのか、楽しみにしてます。

yochan さんのコメント...

ブレア首相、ほんとイラク問題さえなければ、ですよねぇ。
医療についても薬代は払わなければならないみたいだし、実質的には日本と比べてどうなのか、これを機会にまた調べてみようと思います。
実はすでにジュリアンが来る直前に今度は韓国人を受け入れないかと言う話が来ておりました。夫は受け入れたいと言ってます。なので次は来年1月の韓国人についての報告になるかもしれません。