2008年3月5日水曜日

生き方のヒント…本日の人生案内より

友人の家庭事情をもらす
 
60歳代女性。友人との関係で悩んでいます。
 友人の家族は重い病気にかかっています。友人はそのことを周囲にはあまり話していなかったようですが、私は打ち明けられて知っていました。そのことを、うっかり知人にしゃべってしまいました。話は回り回って、当の友人の耳にも入りました。私は事の重大さに気づき、謝りました。
 友人の返事は「話してしまったことは仕方がない。謝ってもらってもしようがない」。その後、連絡はありません。深く傷つけてしまったのだと思います。
 重大なことをしてしまったのだとわかっていますが、友人から相手にされなくなったことがとてもつらく、寂しいです。毎日後悔ばかり。こんな自分なんて、この世に存在しなくてもいいのではとさえ思ってしまいます。(東京・A子)

 人には知られたくない。でもこの人にだけは話して痛みを分かち合いたい。
 友人がもらした話の重さに気づかず、彼女を傷つけてしまったことを悔やんでいらっしゃるのですね。友人は人に知られてうわさになったことに傷つき、信頼していた友人に裏切られた思いで苦しんだわけですが、あなたもまた同じように友人を失ったつらさで傷ついていらっしゃる。あなたはもう十分に苦しんだのではないでしょうか。

 そこで次は視点を変えてみましょう。あなたが友人に与えたつらさを数字でイメージしてください。100でしょうか、1000でしょうか。もし1000のつらさを与えていたのなら、そのつらさを楽にする「いいこと」「やさしい思いやり」を、毎日少しずつ周りの誰かに分けてあげてください。そしてそれを数字でイメージするのです。
 例えば、「駅の階段でお年寄りの荷物を持ってあげたら10」なんていうように。思いやりの貯金が1000になるころ、あなたはきっと自分を許せるようになると思います。
 (海原 純子・心療内科医)
(2008年3月5日 読売新聞)


 今日の海原純子氏の回答がナイスだったので思わずここにも取り上げてしまいました。
 
 私も日々いろいろな自分の言動に後悔する事があるのですが、自己正当化したり、反省しても罪悪感が残ったり。過去を振り返るのはやめ、今日から新しい自分に生まれ変わるぞ、と決心してうまくいっているときでも、ふとした気の緩みで昔の傷が…ということの繰り返しです。
 今日の海原氏の回答の中の特に紫色をつけた箇所に、自分を許す方法が書かれていますが、とてもわかりやすく、効果的に思えます。
 結局は、過去を振り返って後悔するより、日々良い心持で、良い行いをすべきということになりますが、数字でイメージするというのがミソですね。いつまでもクヨクヨすることを防ぐ事ができそうです。

4 件のコメント:

ジョディ さんのコメント...

さすが海原先生、メンタルケア専門だけあって上手いアドバイスですね。相談者がうまく気持ちを切り替えて早く乗り越えられるといいですよね。
うっかりの行為が友人には悪意ある行為に受け取られてしまう事って誰しも経験あると思います。ある程度時間が解決してくれると思いますけどね。
いつもながら、人生案内は相談内容も興味深いし回答も参考になります。

yochan さんのコメント...

今回の相談に海原さんの起用はうまくマッチしていましたね。他の回答者だと(今回のケースでは)説教ぽくなるか一般的な慰めになりそう。
うっかりの行為、そして逆に不作為による相手に与える失望、私は自分が後で気づいたものだけでも結構あります。そういうのを考えると、もっと謙虚になって、他人には寛大にならなくてはいけないなぁと週に一回は思います。

ranran さんのコメント...

う~ン、ナイスなアドバイスですね。他人の相談に乗るのって難しいですね。
たぶん、こういう答えを期待しておられるんだと判るときもあるけれど、敢えて違うように言う方が、本人のためかなと思う時もあるし…。悩んでいる人の気持ちが軽くなるような助言が出来れば良いですね。
今回の相談者の場合は、わだかまりが消えるのには、時間の助けが必要だと思います。しまった…と思っても口から出たら取り消せない時がありますよね。形が違って伝わったり。言葉って難しいですよね。

yochan さんのコメント...

そうですね、他人の相談に乗るのって難しいですよね。
ただ話を聞いてあげるだけのほうが良いときでも、つい、忠告めいたことを言いそうになったり。かといってアドバイスすべきときにいいアドバイスができるかというと、どうだか…自信はないです。
今回の相談のような、人間関係で負ってしまった罪悪感を、海原さんは、うまくそれが減っていくイメージを持たせられたのには唸りました。また、普通なら心のダメージから立ち直れず生活の張りもなくなりそうなところを、このやり方なら、前向きに意欲的に生活する事にも繋がりそうで、やはり、いいアドバイスだと改めて思います。